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伊集院光が語る、ゴジラ映画の奇作『オール怪獣大進撃』「子供の心の闇が見える映画」

2014.04.15 (Tue)
2014年04月12日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『伊集院光 深夜の馬鹿力』(毎週月 25:00 - 27:00)にて、お笑い芸人・伊集院光が、ゴジラシリーズ第10作『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』の奇作っぷりについて語っていた。

ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃
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伊集院光:ついこの間、CSの「ゴジラナイト」で初めて観た、『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃 』っていうゴジラシリーズの中の1作品をCSでやってるのを偶然、観たんですよ。

これが、凄い思い出深いのが、俺が中学生から高校生にかけてって、ゴジラシリーズって一旦、終わってるんだよね。一旦、ダメなモノになってるわけ。最初のゴジラからブームがあったんだけど、一旦、マンネリもマンネリになって、「ゴジラなんて今さら」ってなって無くなって。

その後に、またゴジラファンの人が頑張って、しばらくしてから『ゴジラvsビオランテ』みたいなヤツでまた戻ってきて。

ゴジラvsビオランテ
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その後、いわゆる平成ゴジラみたいのがあったと思うんですよ。それで今は、ハリウッドの前のゴジラがあり、ハリウッド版の新しいゴジラがくるってことになってるんだけど。俺が中学生から高校生くらいは、ちょうど一番、凹んでる時で。ゴジラに関する新しい資料がないんですよ。特撮ブームというか、ウルトラマンブームがきて、観たいわけ。

そうすると、俺が記憶にあるゴジラって、少ないんだよね。小学生の時の「東宝チャンピオンまつり」の中で、『ゴジラvsキングギドラ』とか観てるんだけど。それより前の、『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃 』っていうものに関しては、観たことがない。観たことがない上に、図鑑には、このゴジラにだけ、やたら怪獣が出てるんですよ。

ゴジラvsキングギドラ
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他のゴジラは、1体ずつくらいなのに、この『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃 』たるや、カマキラス、クモンガ、ゴロザウルス、大コンドル、ミニラ、ガバラみたいな、やたらゴジラの怪獣が出てきてるってデータだけがあって。観たことがない。

それで、しかも名画座にくるゴジラナイトにも意外に入らないの。ある日、『オール怪獣大進撃』がラインナップに入ってる特殊上映会があるわけ。「これは観たい」って思って。その時は、年をごまかして。兄貴の学生証を持って観て。

別にエ□映画でもないから(笑)深夜、池袋にいるってことがアウトなだけで、そこまでチェックが激しいわけでもなく入って。それが4本目くらいの上映なわけ。もう眠くて。しかも全部ゴジラだからね(笑)

なんだか分からない、うとうとしている中に『オール怪獣大進撃』が始まって。この駄作っぷりったら凄いんだ。ここまでプレミアついて行っちゃってる俺が、本当にもう寝ようって思う感じ。

だってね、今、大人になったからどうしてそうなったのか分かるんだけどね。まず、怪獣島って島で、怪獣がいっぱい暮らしてるわけ。いっぱい暮らしてる島があって、そこでゴジラはミニラを育ててるんだ。そこに、意地悪な怪獣がいっぱいいて、日々、戦ってる、みたいな設定なわけ。

これだけでも相当なもんでしょ?その理由としては恐らくだけど、ゴジラシリーズもどんどん、興行収入も下がってるわけですよ。大人向けなゴジラからすると、どんどん興行的にダメになってるわけ。その中で、街を壊すのにカネが掛かる。街を壊すってミニチュア特撮に猛烈、カネが掛かる中で、いわゆるキグルミプロレスみたいなもので話を仕上げようとしてるわけですよ。

そうすると、島にみんないてくれるのが楽なんですよ。島で戦ってくれてる方が。これだけでも相当なもんでしょ(笑)

この話の大筋っていうのが、鍵っ子で団地住まいのいじめられっ子の一郎(矢崎和紀)くんって子がいて、この子が、ガラクタ、拾ってきた真空管とかをガムテで巻いた、ガラクタのコンピュータを作って、その前で怪獣島と通信するっていう妄想にふけって寝ちゃうんだ。寝ちゃうと、怪獣島に着くっていう…要は、子供の夢の話なんだ。

これをだよ。ずっと楽しみにして、真夜中に観てみ?どう思う?このまぁガッカリ具合っていったら凄いじゃん。

俺からしてみたら、自分の子供の頃に観てた『ゴジラvsメカゴジラ』の延長線上で本を読んだり、調べたりしてて。ゴジラはもともと、大人向けな硬派な話だったっていうのが分かり。それで、名画座で観たら「ゴジラって、こんなにスゲェ話だったんだ」って思って、「今までのゴジラを全部観たい」って思うわけですよ。それで観に行ったら、ちびっ子のガキ大将に毎日イジメられてションボリしてるちびっ子が、寝ちゃうと見る夢の中に出てくる怪獣島の話だよ?こっちからしたら全く納得いかないから。だって、そうなると"怪獣映画"じゃないからね。

だって、その頃、俺たちが見てた「怪獣大百科」みたいな本が出てくるわけ。ゴジラマニアに向けてのゴジラブームだったり、ウルトラマンの再放送から始まる怪獣ブームがあって。そこには、ガバラって、俺も見たことのない怪獣、カマキラスって怪獣もいて。他のゴジラシリーズに出てきたアンギラス、ラドン、メカゴジラと同列で出てるわけ、写真で。

「ガバラはこういう特徴がある」とか。「カマキラスは集団で生活して…」とか書いてあるわけ。それを期待して観に行ったら、違うじゃん。ガバラっていうのは、いじめられっ子をイジメてるガキ大将のアダ名が、「ガバラ」なわけ。ソイツが、ガバラにイジメられるのが怖くて、外に出れなくて。家の中で一人、ガラクタを前に、「怪獣島、応答せよ、応答せよ」って言いながら、料亭で働いてるお母さんが帰ってこない日に、「応答せよ、応答せよ」って言ってる内に、寝ちゃうわけだ(笑)

寝ちゃうと、ホワ~ホワ~ってなって、ミニラって爬虫類の子供が、「一郎くん、どうしたの?」って話かけられるわけ。そうすると、「イヤなんだよ、イジメられちゃって」って言うと、「僕もその気持ち、分かるよ」って言うと、ガバラって怪獣に、ミニラもイジメられるわけ。

だから、居ないんだよ。ガバラを(アンギラスやラドンと)同列に並べちゃうのはおかしいんだよ。その頃の気持ちに戻って話すと、エビラっていうデカい伊勢海老の怪獣がいるんだ。デカいエビの怪獣がいて、これは、他の怪獣映画に出てきてるの。出てきてるから、ある意味、エビラは図鑑に載って良いわけですよ。"実在"してるから。

でも、ガバラに関しては、そいつの妄想でしかないの。だから、そいつと同等にしたらおかしいわけ。だから、その時の中3か高1だったか忘れちゃったけど、池袋の夜中に観た「『オール怪獣大進撃』の何だコレ?」っていう。ここまで楽しみにしてたのにも関わらず…っていうのを、凄い腹立った覚えがあって。

それをたまたまCSで観たら、やってるわけ。そのダメさが超面白いの。怪獣映画として観ると、ちっとも面白くないの。でも、「追い詰められた子供が、現実逃避をしている話」として観ると(笑)映画の楽しみ方もそれぞれだから、名画だとは思わないよ。凄い期待してた分、超最悪な映画として(記憶に)残ってたのに、超最悪として思って観ると、「意外にこの角度って面白いな」っていうか(笑)やっつけ方が凄いなって(笑)

「ゴジラシリーズに、あまりお金もありませんよ」と。でも、「年に1回、マンガ祭りの中に、ゴジラが入らないと客こないし」ってことを色々やった上に、「子供が主人公だったらノるんじゃないか?」って色んなことをやった結果、ありえない作品になってる。

またこれもめちゃめちゃで。高校生の頃に観た時は、怒って半分、寝ちゃってるんだろうね。話の筋の中に、「実は銀行強盗がその街に逃げ込んでる」みたいな話が入ってるのをすっ飛ばしちゃってて(笑)

なんかね、全体的にどうかしてるまま続いていくんだ(笑)絵をみると、どうでも良い感じの映画だから。

深刻なイジメがあった上に、両親が自分のことを放っておいて、いつも家に帰ると母親がいなくて。しかも、お母さんが料亭で働いてるから、しょっちゅう「今日、夜、帰れなくなった」っていう電話をしてくるわけ。俺が子供で、「東宝チャンピオンまつり」とかで観てたら、「そういうもんだ」って観てたと思うけど、お母さん、色々あるよ(笑)「急に料亭の仕事で帰れなくなる」っていうお母さんの立ち位置には、そこには描かれてないけど、色々、大人の事情もあるよ(笑)そこで残された子が、拾ってきたゴミを集めてコンピュータって読んでるヤツに対して、「怪獣島、応答せよ。怪獣島、応答せよ」っていう心のSOS度合い(笑)

寝て、ミニラが「俺もガバラにイジメられてる」っていうこの一連の話を、児童相談所でしたらどうだろう?(笑)その感じを入れちゃうと、強烈にオモシロイやってなって(笑)

俺が小学生でリアルタイムにアレを観てたら、少なくともその路線でゴジラシリーズが続いてるってことは、アウトじゃなかったわけだよね。小学生にとっては。それで、俺が対象年齢じゃないのに楽しもうとしてる中学生から高校生のときには、「なんだこの映画、ヒドイにも程がある」って思ってた。

けど、46歳っていう関係ないところで観ると、ちょっと面白いなって感じて。ただ、この温度のまま『オール怪獣大進撃』を観ない方がいいよ「なんだコリャ?」だから(笑)

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